チラシの裏

に書いとけなんて言うけど、今どきチラシなんて無いよね

大学院は行くべきなのか

大学院に進むかどうか悩んでいる人の参考になれば幸いです(時期が悪い)

 

 

私は大学院に進みました。これといった目標もなく、なんとなく推薦が貰えたので、行ける所まで行ってみるかという軽い気持ちで進学しました。

 

結果から言うと物凄く後悔しています。しかし、大学院に行かないほうが良かったかと聞かれれば、私は大学院に行った方が良かったと思っています。なぜなら大学院に行くことで、自分は所詮凡人であることを思い知る事になり、今後の人生において冒険をしなくなるからです。(もちろん、ここで活躍できた超人は博士課程に進むべきです。それだけの強さが貴方にはあります。しかし大勢の一般人は、自分が凡人であるということを思い知らされる場所だと思います)

 

人生において冒険の価値観は人それぞれだと思います。大学を中退して起業することで成功した人間は多くいます。しかし、成功した人間以上に、大量の失敗した人間が存在します。一度しか無い人生で冒険するしないは自由ですが、私は娯楽に溢れた現代で冒険する意味は薄いと思っています。ある程度の安定した収入と休息さえあれば、十分だと思っています。

 

大学院、というか研究の世界は青天井です。小中学校の成績は所詮クラス内での順位であり、高校・大学の成績も受験を考えれば同年代内での順位です。つまり天井があるのです。閉じた世界の中で順位が決められており、1位が存在する。そういった世界なのです。

 

しかし大学院に進学(というか研究室に配属)すると途端に世界が変わります。日本だけでなく海外を含め、大学の研究者だけでなく企業の人も含め、20代の若造もいればその道数十年の超超ベテランまでごっちゃ混ぜの世界に放り込まれます。ありえないでしょ?いきなりコレって。順番というものを考えて欲しいですね。

 

大学までどれだけ良い成績を取ってようが所詮井の中の蛙、まず数十年分の先行研究に往復ビンタされ、クソみたいな内容を学会発表しては研究室のボスレベルの人間にわんさか叩かれる。そして、自分は「凡人」だという事を知るのです。

 

先に言っておきますが、これは悪いことではないと私は思っています。実際に私は大学院に進学した事を後悔していますが、これは今が辛いからであって、自分が凡人だと教えてくれた事に関しては計り知れない価値があると思っています。

 

世の中には常に上を目指す人がいます。その人達を貶めるわけではないのですが、私は正直彼らの事が理解できなくなりました。大学に入るまでは私も常に上を目指すタイプの人間でした。クラスでは常に上位を目指していたし、大学も自分が行ける範囲で、可能な限り偏差値の高い場所を選びました。就職してもそうなると思っていましたし、新入社員から出世する気まんまんでした。

 

でも考えてみてください。「上」ってどこまで行くつもりなんですか?仮に私が大学院に行かず、自分が凡人であると気付かなかった場合、新入社員から出世を目指していたと思います。そして、同様に数年後、「上」の存在を知り自分が凡人であるとわからされる事になっていたと思います。

しかし、それに気付くまでに一体どれだけの時間がかかるのでしょうか?新入社員であれば序盤は同期と比較されることでしょう。これは所詮大学までの比較対象と大差なく、数年間は自分は優れた人間だと錯覚していることでしょう。そして次第に自分の評価と他人からの評価に溝が生じ、会社は自分の実力を正しく評価してくれないと嘆くようになります。働きながら転職活動を続け、転職先でも同じことを繰り返すでしょう。それを何回も繰り返した後に、自分が凡人であることを知るのです。そのときにはもう30代40代でしょう。

 

「上」を目指しているときは盲目になりがちです。山登りの際に辛くなったら頂上だけを見ろと言われますよね。それと同じで、上を見て登っている最中は気付かないのです。

 

人生は偉くなったら勝ち、という訳ではありません。偉くなろうとする人は、偉くなりたいのではなく、幸せになりたいから偉くなろうとするものです。

偉くなった瞬間はとても幸せなものです。私にもわかります。クラスで1位になった時、大学受験に合格した時、自分の成果が褒められた時、とても幸せでした。

でも考えてみてください、その幸せ、一瞬すぎじゃありませんか?その一瞬の幸せのために、どれだけの長い期間我慢しましたか?コスパ、おかしくないですか?

他人に更に評価してもらいたいならば、今と同じ立場ではもう評価されません。今の立場を失わず、更に上を目指さないと次の評価を貰えません。そして更に上を目指そうと思った時、今以上に労力と時間を払わないといけません。もはや呪いです。ふと自分が何のために生きているのか考える余裕があるうちは良いですが、そのうち考える余裕もなくなるでしょう。これを見て彼が幸せだと思うでしょうか?

 

自分が凡人であると自覚する前はひたすら「上」を目指しがちです。「上」には何も無いという事に気付くのが遅れれば、それは呪いのように一生上を目指すことになります。大学院は、人生において比較的早い時期にそれを気付かせてくれます。授業もなく、ひたすら考えるための時間があるので、それに気付くことができます。

 

なので、私は大学院に行ったこと自体は後悔していますが、「大学院に行くべきかどうか」と聞かれれば行くべきだと答えるでしょう。私は自分が凡人であるということを踏まえた上で、慎ましく生きていこうと思っています。